加藤けんいち日記

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小田原の悪癖
 昨日、お城通り再開発、いわゆる100mタワー建設についてのシンポジウムがあり、参加してきました。さほど広くない会場に、70名以上がビッシリ入りました。
 「歴史と文化のまち・小田原の駅前を考える会」(代表・安藤義和氏)の主催で、東大の都市計画関係の研究室の院生である安藤氏による経過説明と、小田原市都市計画課による事業説明が行われ、後半で参加者を交えた意見交流がされました。
 改めて思ったのは、この事業計画をほとんどの市民が知らないのだ、ということです。計画予定地の8割が市有地、つまり地権者が市民であるにも係わらず、です。さらに、7億円の補助金、毎年数千万円の支出超過、駅周辺の景観の破壊、そういう市民負担を確実に起こすのに、です。
 事業内容も甚だ危なっかしい、市民が大きなリスクを抱えることになる内容であり、また小田原らしさとは余りにかけ離れた事業で、今そんなことに着手している場合ではない、というのが率直な気持ちです。
 事業内容もさることながら、私が一番問題だと思うのは、市民の中長期の「利益」にかかわる事業について、事前にほとんど知らされず、ほとんど決まった段階で公開され、意見は聞いても市民が事業案作りに参加する余地がない、という進め方です。

 私は市職員に2点だけ質問しました。
 ?再開発事業の主体となる再開発組合に、市も一構成員として参加している。市の主体は市民だ。しかし、市民はほとんどこの計画を知らない。一体、どこで市民の了解を得たことになっているのか?
 ?例えば高さの変更や、駅周辺に不足しているターミナル機能の設置など、市民の声を計画に反映させることは出来ないのか?
 ?については、「再開発への取り組みがスタートした平成元年の時点で、再開発を行うということについての了解は得られたものと考えている」という回答。答えになっていません。今回の高層ビル計画の是非が市民に諮られたことは一度も有りません。
 ?については、「もう基本設計に入っているので、それはかなり難しい」とのこと。
 つまり、市民に事前には知らせない。市民なき「小田原市」が全て意思決定する。決まったことだけが報告され、市民は不満が在ってもそれを反映させることは出来ない状況になっている。これは、小田原市がこれまで何度も何度も繰り返してきた悪癖です。
 悪癖が当たり前にまかり通ってきてしまったのは、行政の運営を行っている面々の問題は勿論ですが、それを容認してきた議会、さらには素通りを許してしまった市民の非力さにも原因があるのです。

 市議会が市民のまっとうな感覚を反映してのチェック機能を果たすことが出来ないのなら、市民が市民の発意によって悪癖に待ったをかける術を持たなくては、市民の利益を市民自身が守ることは出来ません。全国各地でたくさんの事例があるように、市民自身に計画作りの主導権を委ねるような街づくり条例の制定や、最後の手段として住民投票といった手段の行使も含めて、こういった物事の決められ方を越えていかねばならないと痛感しました。
| - | 22:26 | comments(2) | trackbacks(1) |
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| - | 2005/02/13 7:42 AM |
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