3日に続いて、穏やかな好天に恵まれた4日・大安。昨年5月から進められてきた、国指定史跡である小田原城跡内の住吉橋架け替え事業が完了、関係者が揃っての「渡り初め」式が行われました。
平成2年に、江戸時代の姿が復元された住吉橋は、長年の風雪を経て老朽化が進み、欄干や床板、各部材の接合部などが傷んできていたため、通行には注意が必要な状態でした。この度、文化庁や県教育委員会などの指導を受けながら、地元の山一産業株式会社の施工によって、住吉橋が見事に架け替えられ、お披露目の日を迎えたものです。
架け替えに当たっては、先代の住吉橋の普請を手掛けられた故・芹澤伸明棟梁のご子息である、芹澤毅棟梁が中心となって、文化財建築の木造技術を駆使し、また先代住吉橋の傷みの構造的な原因なども踏まえ、雨仕舞の工夫などを凝らして計画・施工されました。橋脚には小田原城跡内にあった松も用いられ、各種部材の加工には小田原の木材関係者も協力するなど、いわば小田原が誇る木材産業および伝統木造技術が生かされての復元事業と言えるでしょう。
式典およびテープカットのあと、小田原鳶職組合の皆さんによる木遣りを先頭に、芹澤毅棟梁をはじめ施工関係者が真新しい橋を渡り、来賓や一般の皆さんが続きました。床板や欄干などに用いられているヒノキの香りが素晴らしく、靴を履いて渡るのが申し訳ないくらいの出来栄え。欄干の支柱に被せられている擬宝珠(ぎぼし)も、以前のものを取り外して、地元の鋳物師である柏木さんのところで鋳直され、新しくなっています。
今月末からは、おでん祭り・かまぼこ桜まつりなど桜のシーズンを迎えて、小田原城は大勢の人たちで賑わいます。多くの人たちに、この新しい住吉橋を渡り、その手触りや美しい姿にぜひ触れて頂きたいと思います。
この日は隣の二の丸広場にて、15回目となる「小田原城馬上弓くらべ大会」も行われていました。古式に則った本格的な流鏑馬ではないものの、ほぼそれに近い迫力を間近で見ることができる貴重な機会であり、流鏑馬を志す練習生の皆さんによる成果発表の場でもあります。江之浦地区で「サドルバック」を運営し、日本の固有種である和種馬の育成などに取り組んでいる高橋行雄さんらが設立した「NPO法人日本和種馬文化研究協会」が主催。すっかり定着し、早春の小田原城の風物詩になった感があります。
武名の誉れ高い北条氏康が、全国から強者の騎馬武者を集め腕を競わせた、とのイメージで行われる弓比べ。騎射は二の丸広場の対角線上に設けられた馬場を疾駆、二つの的へ矢を放ちます。この日は外国人も含め観光客も多く、馬場を駆け抜ける騎馬武者の雄姿に、大きな声援が上がっていました。お城に馬はよく似合います。お隣では、上府中公園で毎月行われているクラフト市である「カミイチ」が特別に開催されており、ここへの人出と相まって、会場周辺は終日賑わったようです。