21日、コロナウイルス対策に追加する予算案を公表しました。事業収入が大幅に減少している市内中小企業および個人事業主の事業継続を支援するための支援金として、総額4億円。これは、前回の専決処分で支援金を給付させて頂く休業要請業種以外の皆さんを対象としています。また、今後の風水害等の災害時における避難場所での感染防止対策として約1600万円、児童手当受給者への国からの臨時特別給付金(対象児童一人につき1万円)の給付などを盛り込んでいます。すでに議会に提案し、来週28日の臨時議会にて承認を求める予定です。私はその時にはすでに退任していますが、後任の市長にしっかりと議案説明を行っていただくことになります。
コロナウイルスの感染が全国的にはだいぶ鎮静化しており、昨日は大阪・兵庫・京都が緊急事態宣言解除となりましたが、神奈川を含む1都3県は変わらず。なかでも神奈川の数字が下がらず、この県西地域での院内感染が最後に残っている状況です。医療現場の皆さんにはたいへんなご苦労をかけていますが、もうひと踏ん張りして頂くためにも、皆で支え合い、応援していかねばならない局面です。
午前中、私が招集する最後の幹部会議を開催。市長選の選挙結果を踏まえ、市長が交代するにあたっての今後の事業の進め方について、全ての部局長・副部局長らに訓示を行いました。市民が示した願いは、これまでの政策の継続と、新しい取り組みへの着手が、まさに半分ずつであり、これまでの成果をしっかり活かし、その上に新たなチャレンジを載せていくことが望ましいこと。各事業をこれまで推進してきた職員として、現状や課題について新市長にしっかりと説明し、今後必要となる政策の在り方について積極的に新市長と議論をすることなどを伝えました。
午後は、来週から市長に就任する守屋氏へ、重要事業などについて引継ぎを実施。私が選挙戦を前に取りまとめたマニフェスト「新しい小田原へ第4ステージの取り組み指針」に列記した政策リストを用いて、約1時間、全ての政策分野にわたり主要な課題や今後の見通しをお伝えし、幹部会議の様子も報告。市民力や地域力を育ててきたこれまでの成果の上に、守屋氏の得意とする部分を載せて、ぜひ市政を更に進化させてほしいとの期待を伝えました。
そのほか、市社会福祉協議会の小野会長に、ケアタウンなどの仕上げに向けた更なる協力を要請。また県市長会の副会長らに架電、後をよろしく頼むと伝えました。空いている時間で、市長室内の膨大な書籍や資料などを仕分け、あとの片づけを秘書室に依頼。
この日、両副市長と最後のミーティング。毎週月曜と木曜の朝一番で必ず行ってきた、課題の進捗管理と市長指示を行う、市政運営においてとても重要な場でした。加部副市長は私の就任直後に選任し、まさに3期12年間最側近として私を支えてくれました。時田副市長は私の就任後に企画部長などの要職を任せ、その後2期にわたって支えてもらいました。加部さんは行政の枠組みや財政規律を重んじる小田原市役所随一の能吏であり、行政の仕組みに疎く奔放になりがちな私の政策意図に現実感を与えてくれたと共に、職員や議員からの人望も厚く、何度救われたか分かりません。時田さんは、私がCLCA(子どもと生活文化協会)事務局長だったころから存じており、公務員という枠をはみ出した柔軟かつアグレッシブな発想と仕事ぶりで、加部さんとは良い意味で対照的に、思い切った取り組みを様々に提案してくれました。また文化方面の造詣が極めて深く、市政を新しい展開へと切り拓いた人でもありました。このお二人の、的確かつ絶妙な参謀機能がなければ、加藤市政、すなわち「新しい小田原」への歩みは難しかったと思います。言い尽くせぬ感謝の想いでいっぱいです。
また、お世話になってきた秘書室の皆さんとは、最後のランチを共にしました。両副市長と、公用車の運転を長年務めて頂いた2人の管財課職員も一緒に、清風楼さんのお弁当を頂き、和やかに歓談。市長の公務が円滑に進むよう、あらゆる配慮で支えてくれた秘書室チームの皆さん。12年間の中では、病で亡くなられた方もいるのですが、私にとってはかけがえのない仲間でした。本当にありがとう。新しい市長にも、これまでと同じようにしっかりと支えてあげてほしいと思います。
今日は、公務最後の日。これまで共に県西地域の中で協力し合ってきた近隣の首長さんらにご挨拶に廻り、最後は退任式に臨みます。苦楽を共にしてきてくれた職員の皆さんに、これまでのお礼と、ここから先の難しい状況を乗り越えるべく頑張ってほしいとの思いを伝えるつもりです。そして、私自身がこれから民間の立場に戻っても、皆さんと共に在り、市民の立場で課題解決を担うことで市政を支えていく旨、しっかり伝えたいと思っています。
この「市長の日記」も、今日が最後となります。就任前から折に触れ綴っていましたが、市長にしか見えない景色や想いを市民の皆さんと分かち合いたいと、2009年の3月からは土日祝日以外ほぼ毎日更新、通算で2000以上の投稿をしてきた、市政の貴重な記録でもあります。今後は私の個人のフェイスブックなどで、これからの動きや、都度の想いなどを発信していくつもりです。長年、この日記をお読み頂いて来た全ての皆さんに、この場をお借りして心から感謝申し上げます。そして、「新しい小田原」への歩みがさらに進化していくよう、引き続き市政を見守って頂きたいと念じ、最後の「市長の日記」を閉じさせていただきます。
稔り多き、そしてご縁に恵まれた、本当に豊かで充実した12年間を、ありがとうございました。